いかちゃんの物語

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僕に残されたもの

僕に残されたもの 僕はお風呂上がりにパンツ一枚だけでベランダに出てタバコを吸うのが好きだ何か少しいけないことをしているような、この世界から隔離された空間に冒険に行くような、不思議な気持ちになる。 今は夏なので、蚊取り線香を足元に置くようにし…

おれはおれになりたい

おれは実体のない幽霊みたいだこの世に存在しているはずなのに存在していないみたいだ昔の友人のように怒って携帯電話を地面に叩きつけることすらできないおれは弱い濡れた体にクーラーの風がつめたいそんな自分を冷静に見ている自分が暖かいことがつらい結…

ミートソーススパゲティ

ミートソーススパゲティ 僕はミートソーススパゲティに聞いた「君はナポリタンスパゲティかい?」ミートソーススパゲティは答えた「僕はミートソーススパゲティですよ」 僕はミートソーススパゲティにもう一度聞いた「君は本当はカルボナーラスパゲティなん…

絵の中の女

絵の中の女 ある一枚の絵があったその絵は見るものを惹きつけるようなとても美しい女性が俯き加減で葉巻を吸っているという絵で、その絵には逸話があった絵が愛されたと感じると、絵の中の女が笑うというものだその絵は描かれて5年間の間地元の町のカフェに…

もしも ぼくが 風 だったら

もしも ぼくが かぜ だったら いつも やまの てっぺんの うみが みえる ひろばで そよそよと ふいていたい ひろばであそぶ こどもたちの あせを かわかしたり ひろばの すみっこで のびきった くさ を やさしくゆらしたり とばされた かみひこうきの ゆくえ…

ナンシーを愛して

うさぎの自殺

うさぎの自殺 ある山に二匹のうさぎがいました。彼らは兄弟で、兄うさぎは自信家、弟うさぎは逆の性格でした。 ある日二匹で山の中を散歩している時、兄うさぎは言いました「は〜、なんか今の生活がずっと続くのかなとか思うとさ、嫌になるわ」弟も返事をし…

夏の悪魔に会いに行く 1

夏の空気はいつだって無色透明だそれまで曇ったレンズ越しに見ていた街並み、帰り道の電信柱、夜空の星々その全てが、夏になるとはっきりとした鮮やかな色合いを持ち、おぼろげだった人やものも、その輪郭をあらわにする。Tシャツに染み付いた汗を乾かす風は…

孤独の海

真っ暗な部屋に一人の少年がうつむいて座っている。 部屋にはカップラーメンやティッシュペーパー、布団、食べかけの惣菜パンなどが散乱して、その部屋の中で少年は、ひたすらに床を殴り続けていた。 拳は血だらけで、それでも少年は床を殴り続けていた。 少…

残滓 1

ある匂いがある。その匂いはとても懐かしい匂いで、嗅ぐと、心の奥にある栓がポンと音を立てて外れたかのように懐かしい気持ちがフラッシュバックして胸のあたりが暑くなり、その暖かさに涙が出そうになったり締め付けられるようになったりするそして時間と…

幽霊犬ペロ

2012年 7月 飼い犬のペロが死んだ。 掃除のために家の玄関が開けっ放しになっていて、そこから出て行ったペロが道路に出て、車に轢かれて死んだのだ。 いつもペロの世話をしていたこうたは夏休み前の最後の学校に行っていた。 家に帰るといつも玄関のフロー…

漫画 屋根裏の王様

漫画 始まらない世界

夢の惑星

ある惑星に一機の宇宙船が不時着した。不時着してしばらくすると、ボロボロになった宇宙船から、ふらりと1人の宇宙飛行士の男が現れた。宇宙服を着て、片手には空気の測定器を持っている「なんとか一命を取り留めた…どうやらこの惑星には酸素もあり、気温も…

漫画 私の右手

一陣の風が吹く

一陣の風が吹く僕はそれに身体を任せて走る一陣の風が吹く僕はそれに流されて走る一陣の風が吹く僕は風を感じなくなる一陣の風が吹く僕は風を呼べるようになる一陣の風が吹く風を感じたい人々が僕を呼ぶ一陣の風が吹く僕は風が何なのか気づく一陣の風が吹く…

未来からの電話

プルルルル…プルルルル…ガチャ「もしもし、過去の私ですか」「ええ、未来からはるばる、何のご用でしょう…忙しいのです…」「今、すごく死にたくなっているでしょう」「…なぜわかったんですか…ちょうど、右手に薬のたっぷりと入ったコップを持っていますよ…」…

桜並木の下で

日曜日の昼間、ある公園で、一人の男がチェーンソーを持ってそこに並んでいるうちの一本である、大きな桜の木を切ろうとしていた。 チェーンソーの”ぎゅいいいいん”という音が公園にけたたましく鳴り響いた。 「よしよし、油を差したから今日のチェーンソー…

翼のない鳥の日記

僕はある日親鳥に、巣から落とされました。 あれは僕が卵から孵って三日目のことです。 幸い、幸運に、奇跡的にも僕は一命を取り留め、地面を這いながらもなんとか小さな虫などを捕まえて生きてきました。 今になって、あの時僕が巣から落とされたのはなぜな…

アメーバの日々

気づくと僕は透明なアメーバだった。周りにいたアメーバは赤や黄色、青の色をしていて透明なのは僕だけだったから、周りにいるアメーバは僕と仲良くなんてなろうとしなかった。色の違うヤツとはみんな関わろうとしないから、ミクロの世界はとても厳しい世界…

ひまわり畑の夢

この荒れ果てた地が昔一面のひまわり畑だったことは私がよく知っている。 あれはもう20年ほど前のこと。私が小学一年生の時だ学校でひまわりという植物について知った僕は母親に頼んでひまわり畑に連れて行ってもらったのだ。父は仕事だったので、母と兄と私…

ホットココアと猫

僕は町を歩く。 すれ違う 同じような顔をした老いぼれたち。 早足の夜の女。汚い足を曝け出して。 お互いがお互いをファッションの一部として認識しあっているようなカップルたち。 ベビーカーを押す若い女 イヤホンをした女子高生 マスクをしたにきびだらけ…

ポルター・ガイスト

蒸気機関車の走る白黒映像はところどころぶつ切りになっている。 白黒の自動車が砂利道を走って、白黒のコートを着た人たちがぞろぞろと白黒の町を歩く。 白黒の兵隊たちが死体を片付けて、焼く。 死体は真っ黒に見える。きっと血まみれなのだろう。 白黒の…

ひなちゃんのダンス

食肉用豚のひなちゃんがこの豚だらけの島に流れ着いたのは、今朝のことであった。 ひなちゃんを出荷する船が途中海難事故に会い、沈没した船から流されて、気がつけばこの島に流れ着いていたのであった。 この島は豚島という。 昔養豚によって栄えた島であっ…

悪魔

あなたは薄暗い部屋の中で椅子に座って一冊の本を開いている。 妙に重厚な表紙の本だ。膝に重みを感じる。 本を開くと部屋が真っ暗になって、視覚が完全に奪われた。 しばらくするとどこからか、甲高い声が聞こえてきた。 「やあやあ初めまして 私は悪魔です…

無気力アザラシと渡り鳥

無気力アザラシは今日も真っ白でふかふかな雪の上で眠っていた。 まだ子供のアザラシだから毛色は真っ白で保護色になっていて、アザラシは微動だにしなかったので、どんな肉食動物にも気づかれなかった。 アザラシは眠たくて眠っているのではない。現実から…

人工知能の寒い夜

デモ隊が今日も東京の街をずらずらと並んで歩いていた中はボロボロの衣服に身を包んだ30〜50代の中年の男が殆ど彼らの持っているその看板には「人工知能に支配されるな!!」と書かれている 21XX年日本は人工知能に支配されかけていた。2090年代の終わり頃、…

夜風

夜風は人々から心を奪い去る。 夜風に身を委ねる人々 奪われた心は朝日とともに誰かの中に入り、また夜風にさらされて奪われては誰かの元に流れてゆく 夜風は人に心は与えることはしない、朝日が誰も心も奪わないのと同じように。 彼らは誰を助けもせず、誰…

言葉と魔法

僕がまだ幼かったころ、家で2人きりのとき、父さんが僕の頭を撫でながら言った。「いいかい。言葉というの魔法なんだ。魔法は人を不幸にもできるし、幸せにもできるんだ。だから、言葉を使うときはよく考えなければいけないよ」「うん、わかった!」僕は元気…

白い狐と弱い青年

一匹の真っ白な狐がいました。狐は何にも頼らず、巨大な森の奥で狩りをし、一匹で生きていました。 その真っ白な毛皮は絹のように美しく、多くのハンターに狙われましたが、その姿を見たものは少なく、また、見たものも素早い身のこなしにより誰1人として狐…

カマキリの恋

蝶に恋をしたカマキリの話しあるところにカマキリがいた力強く太い鎌を持ち、他の同種の追随を許さぬほどの強さであった。しかし、どこ種にも突然変異というものは起こるもので、そのカマキリは同種に対して一切の性欲を見出すことができなかった。その代わ…

子殺し

夏、日差しが照りつけて、アスファルトの上に陽炎を描く。少年は風通しの悪い蒸し暑い部屋で、自宅に篭って、どこにもやり場の無い性欲を1枚のティッシュにぶつける。むき出しの欲望はゴミ箱の中に吸い込まれるように消えて行ったようだが、ゴミ箱の中を覗き…

幸福なホームレスと不幸なサラリーマン

幸福なホームレスと不幸なサラリーマンあるところにホームレスがいました。彼には家もお金も何もありませんでしたが、日々の生活に多福感を感じていました。木々のざわめきや人々話し声、照りつける太陽、アスファルトのにおい。そういったものがあるだけで…

四角い部屋

僕は四角い部屋の中で生きている。いつからここにいるのかわからないし、どのくらいここにいるのかも不確かだ。四角い部屋は大きくも小さくもなく、一面真っ白で、部屋の中には何もなく、ドアもなければ窓もない。ただ1日に2度、天井に小さな穴が空き、食事…

三匹の猫

三匹の猫あるところに三匹の猫が女の子に飼われていました。猫のうち1匹は乱暴で強欲な性格で力が強くもう1匹は力が弱いが小賢い性格で最後の1匹は力も弱く、臆病な性格でした。小賢い猫は強欲な猫を持ち上げて自分の身を守り、臆病な猫は強欲な猫にただただ…