いかちゃんの物語

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三匹の猫

三匹の猫

あるところに三匹の猫が女の子に飼われていました。

猫のうち1匹は乱暴で強欲な性格で力が強く
もう1匹は力が弱いが小賢い性格で
最後の1匹は力も弱く、臆病な性格でした。

小賢い猫は強欲な猫を持ち上げて自分の身を守り、臆病な猫は強欲な猫にただただ怯えていました。

そして、今日もエサの時間が訪れました。
飼い主の女の子が言います
「いいですか。みんな、きっちり三等分して食べるのよ。」
猫たちはニャーと愛想よく頷いて一つのエサいれに向かいます。
女の子が部屋から出ると、強欲な猫が臆病な猫を睨んで言いました。
「わかってだろうな。お前は、食べるんじゃないぞ。」
臆病な猫はぶるりと震えます。

さらに、強欲な猫は、小賢い猫を睨みます。
すると小賢い猫は満遍の笑みで「私のようなものは、余り物で結構ですので。あなた様のような力強いお方が、たんとお食べ下さい」と言います。
強欲な猫は「そうかそうか。でもそれではお前がかわいそうだ。」と満足げな笑みを浮かべ、エサの5分の1を小賢い猫にわたします。

強欲な猫はエサをいっぱい食べたいので、他の猫を睨みつけるのです。

睨まれた臆病な猫は何もできずに、ニャーと か細い声を出して、エサに一口もありつけぬまま、部屋の窓から出て行きました。

そんな怯えることしか出来ない臆病な猫ですが、得意なことが、一つだけありました。

それは、釣りです。
臆病な猫は尻尾を器用に使って、池から魚を釣り上げることができました。
そしてそれが生きる術でもありました。

毎日、エサを奪われ、池に行ってはせっせと釣りをするのが、臆病な猫の日課になっていました。
そして、とある日のエサの時間
いつものように、睨みつけられた臆病な猫は窓から出て行きました。

強欲な猫と小賢い猫が二匹でエサを食べていると、ふと気づいたように小賢い猫が言いました。
「しかしあいつ、いつもこのエサ食べられないのに、よく生きていけますね。一体、何食べているんでしょうか?もしかして、私らよりも美味しいものを食べていたりして。」

「気になるな。あとをつけてみよう」

食事を中断して、強欲な猫と小賢い猫は、臆病な猫のあとをつけていきました。


三匹が着いた場所は公園でした。

臆病な猫は公園の中心にある池の前に立ち止まり、強欲な猫と小賢い猫は木陰に隠れて、その様子をじっと見ています。

少し経って、臆病な猫は池に背を向けると、尻尾を池の中に垂らしました。


しばらくすると、臆病な猫の尻尾がしなるように持ち上がるのと同時に、水面をバタつかせて、新鮮な魚が池から飛び上がり、地面に打ち上げられました。

小賢い猫と強欲な猫は、ゴクリと唾を飲みました。

臆病な猫は安心した顔をして、魚が動かなくなるのを待ちました。
しばらくして魚が動かなくなり
そして、臆病な猫がその魚を咥えようとした、そのときです。

「おい、お前、待て。」
強欲な猫が臆病な猫の前に飛び出て行きました。
「新鮮な魚を独り占めか。ずるいぞ。よこせ。」
臆病な猫は強欲な猫を恐れていましたが、エサを失い、生きていけなくなることを更に恐れ、魚を渡そうとしませんでした。
魚を渡そうとしない臆病な猫を見て、強欲な猫は
「よこせと言ってるだろ!」と怒り狂って、臆病な猫にとびかかりました。
強欲な猫の鋭い牙が臆病な猫の首筋に突き立てられました。

臆病な猫は抵抗らしい抵抗もできず、すぐに死んでしまいました。
ニャーという か細い鳴き声が少しばかり聞こえたくらいでした。


その後、残った二匹の猫は、公園の隅に臆病な猫だったものを埋めて、隠しました。


次の日のエサの時間、3匹分のエサを床に置いた女の子が気づきました。
「あら、今日は1番大人しいあの子がいないわ。旅にでも出たのかしら?探しにいかないと。。。あなたたち、何か知らない?って、猫に言ってもわからないわよねえ」
それを聞いた二匹の猫は、エサの3分の1ほどを咥えて床に置いて、ニャー と鳴きました。
「あら、大人しい子が帰ってくるのを分かってるから、除けておいてあげてるの?二人は、優しいのね。この調子だと、探しに行かないで良さそうね。」
そう言って、女の子は部屋から出て行きました。


しばらく経って女の子がまた部屋に来ると、除けておいたエサが全てなくなっていました。
「あら、気づかないうちに、帰ってきてたのね。良かった。明日からも、ちゃんとエサは用意しておきましょうね。」

二匹の猫が、ニャーと鳴きました。

その次の日も、次の日も、臆病な猫は、女の子の前に姿を現しませんでした。
それでもエサは無くなるので、女の子は、気付かぬうちに帰ってきているのだろうと信じて、3匹分のエサを用意し続けました。

臆病な猫だったものは、誰にも気付かれずに、公園の隅で、静かに朽ちていくのを待つばかりでした。