いかちゃんの物語

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翼のない鳥の日記

僕はある日親鳥に、巣から落とされました。

あれは僕が卵から孵って三日目のことです。

 

幸い、幸運に、奇跡的にも僕は一命を取り留め、地面を這いながらもなんとか小さな虫などを捕まえて生きてきました。

 

今になって、あの時僕が巣から落とされたのはなぜなのだろうと考えるのですが、一つの仮説が浮かんできました。

それは、僕の腕に翼がないことです。

 

まさか、そんなことあるわけと考えるわけですが、僕と他のヒナの違いはそれくらいしかありませんし、消去法で考えてもそれしかないだろうと思うわけです。

信じたくはありませんがね。

 

それでさらに深く考えてみるわけです。

どうして翼がないことが僕が落とされる原因となるのか?

初めは全く意味がわかりませんでした。

 

しかし、僕はとても賢い鳥です。

相手の気持ちになって考えてみましょうということで、親鳥の気持ちになってみます。

 

そうすると、答えがぼんやりと見えてきました。

「自分とは違うから排除しようとした」

と言う答えが。

 

ふむふむ。なるほど。

たとえ僕がこのまま成長しても、翼がなければ生きてはいけない。

僕が残す子孫の翼も、無い可能性がある。

僕は、この種の繁栄には不適切な存在である。

そのようなことを親鳥は直感的に判断し、僕を巣から落としたわけです。

 

僕はこのことを考えついた時に感動いたしました。

なんと自然の摂理にかなっていることでしょう

 

 

 

 

しかし僕は、これを自然の摂理だと思うことはやめることにしました。

なぜか?

僕には心があるからです。

巣から落とされたことを自然の摂理だと思うことで、僕は死ぬまで自分の親鳥を愛することができないと思ったからです。

だから僕は、こう考えることにしました。

 

 

これは親鳥の深い愛の結果ある。と。

 

 

親鳥は僕が愛おしくて仕方がなかった。

しかし、このまま育っても他のヒナのように巣立つことができない。

それでは僕が惨めな思いをするだろうし、一羽で生きていくことができないのではないか?そう親鳥は考えた。

だから、迷って迷って、試練を与えるために僕を巣から落としたのです・・・。

 

そう考えることで、僕は親鳥を愛することができるようになりました。

本当のところはどうなのかわかりません。

しかし、はっきりと言うことができます

 

もう会うことはないにしても、僕は親鳥のことを愛し続けることができる。と。