バケツ

言葉を吐きます

まるで映画

今日も僕は昼間まで眠っていた


すると、まるで天から何かが降りてきたかのようにピキンと僕の頭の中の何かのドアが開いて、まるで自分が主人公の映画を観ているかのような感覚に陥った


そうだこれは映画の中のお話に違いない

今から僕は他愛もない買い物しに街に出る

するとそこでひとりの困った美しい少女に出会い、何の気なしにその少女を助けた僕は悪の組織に追われる身となって

少女の秘密を知った僕は少女をかばいながら街中を縦横無尽に駆け回り、悪の組織を倒して最後には少女と結ばれる


そんな映画の中に違いないのではないだろうか

考えるとワクワクして寝ていられなくなった

さあ今から他愛もない買い物をしに出掛けよう

そう思った瞬間に、気づいた


ああ、ここは現実なんだ


悪の組織もテレポートシステムも、僕と結ばれる運命の美しい少女も、ましてや街中を縦横無尽に駆け回れる走力も僕にはない


ただ1つの現実なんだ


僕は心底落胆した

映画の世界では自分から何かをしなくとも、当たり前みたいに何かが起こる

もし仮に何かをすれば、それが10倍にも20倍にも膨れ上がって返ってくる

しかし現実では違う


現実では何もしなければ何も起きないし、何かをしてもそれによって大きな変化が起きることなんてほぼないのだ

現実とは平凡な日常の連鎖であって、僕の妄想や物語の中にあるようなエンターテイメント性に満ちた世界は完全に作り物の中でしか成立し得ない


そんな悲しい現実を直視したのがつらくて、僕はまたゆっくりと目を瞑り、手探りでアイマスクを探してつけて眠った