バケツ

言葉を吐きます

2015-01-01から1年間の記事一覧

無気力アザラシと渡り鳥

無気力アザラシは今日も真っ白でふかふかな雪の上で眠っていた。 まだ子供のアザラシだから毛色は真っ白で保護色になっていて、アザラシは微動だにしなかったので、どんな肉食動物にも気づかれなかった。 アザラシは眠たくて眠っているのではない。現実から…

人工知能の寒い夜

デモ隊が今日も東京の街をずらずらと並んで歩いていた中はボロボロの衣服に身を包んだ30〜50代の中年の男が殆ど彼らの持っているその看板には「人工知能に支配されるな!!」と書かれている 21XX年日本は人工知能に支配されかけていた。2090年代の終わり頃、…

カマキリの恋

蝶に恋をしたカマキリの話しあるところにカマキリがいた力強く太い鎌を持ち、他の同種の追随を許さぬほどの強さであった。しかし、どこ種にも突然変異というものは起こるもので、そのカマキリは同種に対して一切の性欲を見出すことができなかった。その代わ…

子殺し

夏、日差しが照りつけて、アスファルトの上に陽炎を描く。少年は風通しの悪い蒸し暑い部屋で、自宅に篭って、どこにもやり場の無い性欲を1枚のティッシュにぶつける。むき出しの欲望はゴミ箱の中に吸い込まれるように消えて行ったようだが、ゴミ箱の中を覗き…

幸福なホームレスと不幸なサラリーマン

幸福なホームレスと不幸なサラリーマンあるところにホームレスがいました。彼には家もお金も何もありませんでしたが、日々の生活に多福感を感じていました。木々のざわめきや人々話し声、照りつける太陽、アスファルトのにおい。そういったものがあるだけで…

四角い部屋

僕は四角い部屋の中で生きている。いつからここにいるのかわからないし、どのくらいここにいるのかも不確かだ。四角い部屋は大きくも小さくもなく、一面真っ白で、部屋の中には何もなく、ドアもなければ窓もない。ただ1日に2度、天井に小さな穴が空き、食事…

三匹の猫

三匹の猫あるところに三匹の猫が女の子に飼われていました。猫のうち1匹は乱暴で強欲な性格で力が強くもう1匹は力が弱いが小賢い性格で最後の1匹は力も弱く、臆病な性格でした。小賢い猫は強欲な猫を持ち上げて自分の身を守り、臆病な猫は強欲な猫にただただ…